いまこそ「クニの財政」の話をしよう①

 旭川医大2年のY.Sです。おおよそ読者のみなさんは医学生だと思います。おそらく大半は将来医師になることでしょう。医師というのは厚労省から免許を与えられ、業務独占的に仕事ができますね(準公務員になります)。その代わりに、保険診療の範囲内においては、保険点数という形で支払われる額が決まってきます。

 その際、診療報酬の問題は避けて通れないでしょう。将来開業して経営者となるなら、診療報酬は売上に直結しますから、なおのこと気にするはずです。

 毎年診療報酬は改定されていますが、そこに出てくるひとつの文言として、「高齢化や技術進歩、高額な医薬品の開発等により医療費が増大していくことが見込まれる中、効率化・適正化を進め、制度の安定性・持続性を確保しつつ経済・財政との調和を図る観点も重要」と取り上げられています。 診療報酬改定は、医師会、製薬メーカー、財務省・厚労省、医療族議員がやりあって決着します。 診療報酬の改定率はおおむね名目GDPと連動するようになっています。この点で、医師免許はGDP連動の労働債権だと云うことができるでしょう. ところが困ったことに、平成の30余年にわたってわが国はデフレに悩まされてきました。そこまで低迷した国は地球どこを見渡してもないぐらいです。誇らしいことですね!

 さてここで、「経済・財政との調和」というキーワードがありましたが、「日本の財政は赤字だらけで、税収の範囲内で支出できていない」とか、「借金まみれでいずれ返さなきゃいけない」とか、「膨張する社会保障費を削減しろ」だの「公務員の給料は高すぎる」といった話を聞いたことはないでしょうか。

 旧帝大の学生さんなどには臨床には興味がなく、旧研究分野にのみ進もうかと考えている人もいるかもしれません。その場合でも、科研費など研究費を国から貰ってくるわけですが、「選択と集中」を掲げ予算を削ってくる文科省・財務省に首根っこを掴まれますよね。

 これから、みなさんと一緒に、この日本という国の“財政問題”、社会保障費・文教予算といった政府支出に本当はどれくらいかけられるのか、「GDPを増やしていく=経済成長させていく」ためには何をすべきなのか、そしてブラックだといわれる医療関係者の給与は増やせるのか、そういったことを、わたしたちの未来にかかわることとして考えていきたいと思います。

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